食のサステナビリティを追求しながら独創的なグルメ体験を約束する名店
〈シングルスレッド〉はソノマ郡で唯一のミシュラン三つ星ダイニング。農場で採れた自家製野菜を用い、日本で磨いた料理センスを遺憾なく発揮。その食体験は、今春、京都に開業したホテルでも味わえることに。

先に、米国のワインカントリーに渡った日本人のストーリーを伝えたが、ここではカリフォルニアから日本に向かい、その結びつきを深化させる人物とその施設を紹介したい。ソノマにあるオーベルジュ〈シングルスレッド〉の料理長はカイル・コノートン氏。かつては北海道の〈ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ〉にある「ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン」で腕を磨き、その後、英国の名店〈ザ・ファット・ダック〉でシェフを務めた逸材だ。2016年に妻のカティーナ氏と〈シングルスレッド〉を開業すると、1年足らずでミシュランの二つ星を獲得し、注目を浴びた。

シングルスレッドとは「一本の糸」を指す。ファーム・トゥ・レストラン、さらにレストラン・トゥ・イン。つまり農場からダイニング、宿泊までが一つにつながるという意味だ。建物の近隣には約9.7ヘクタールの有機野菜自家農場があり、年間を通じて数十種類の作物を栽培。ダイニングで利用するだけでなくファームストアで販売も行う。一方、キッチンから出た食品ロスは堆肥化させる他、プラスチック製のカトラリーは一切使用しないなど、サステナビリティにも徹する。
その料理は写真の通り、絵画のごとく美しい。独自のカリフォルニア料理だと語るが、懐石料理からの影響は間違いないだろう。コースは肉や魚を使うメニューの他、ベジタリアン、そしてペスカタリアン(魚介と野菜料理)に分かれ、さらにゲストの嗜好に合わせてアレンジが加わる。ワイン・ペアリングにも抜かりはなく、70年代のナパ、ソノマのヴィンテージまでストックし、『ワイン・スペクテイター』誌の「グランド・アワード」を受賞している。

同店はレストランが主体ではあるが、2階に5室だけ客室を備えている。そこにもコノートン夫妻流の日本スタイルが発揮され、シャワートイレ、床暖房、抹茶メーカーをはじめ、笹和紙のスリッパなどを整える。花器やダイニングの食器は伊賀焼。そして宿泊者は朝食に和食も選択可能だ。使う米はカリフォルニア産のオーガニック・コシヒカリとのこと。

26年は新しいニュースも届いた。3月、京都に開業したラグジュアリー・ホテル〈カペラ京都〉に、夫妻がプロデュースする「想乃間 by シングルスレッド」がオープンした。京都の伝統食材を基軸に、北カリフォルニアのオリーブオイル、チーズ、野菜などを加え、両者のテロワールを融合させたコース料理を提供する。併設するペストリーも評判だ。
食材には一切妥協せず、ワインとのペアリングも追求する独創的なキュイジーヌ。〈シングルスレッド〉はダイニングとツーリズムの立ち位置から、米日の架け橋という役を果たしている。

Single Thread
シングル・スレッド
住所:131 North St., Healdsburg, CA 95448
TEL:+1-707-723-4646
URL:https://singlethreadfarms.com/