ウェルエイジングの 目指すべき未来

ウェルエイジングの 目指すべき未来

ウェルエイジングとは英語でWell-Agingと表記するように、年齢に抗うのではなく、年齢を重ねることを前向きにとらえ、心と体が健康でありながら上手に年齢を重ねていくこと。

人生100年時代を豊かに生きるには、いかに自分らしく、健やかに歳を重ねていけるかが大切。

いまから始めるべき健康年齢への対策

平均寿命が延びた現代社会で「いつまでも元気に若々しく!」は誰もが願うことであり、ウェルエイジングの基本。

そうした願いを実現するには、日頃の生活習慣とヘルスケアがモノをいう。

ここに登場する4人の医師も実年齢より健康年齢の重要性を指摘しており、各クリニックが独自の視点で、老化の抑制や病気予防に効果的な最先端の医療を行っている。

「辻クリニック」では細胞から若返る再生医療を、「満尾クリニック」ではキレーション治療を柱としたアンチエイジング医療を、「フェニックスメディカルクリニック」では人間ドックから外来診療までワンストップで親身なフォローを、「レムクリニック」ではエクソソームをメインとした再生医療というように、一人ひとりの悩みや健康状態に寄り添ったスペシャルなケアが受けられる。

仕事やプライベートに忙しいと、つい無理をしてしまい、自身の体のことは後回しになりがちだ。

早めのケアが健康年齢を若返らせ、ウェルエイジングな生き方につながっていくのは事実である。

以前より「疲れやすくなった」「肌や筋肉の衰えが気になる」など、老化のサインを感じ始めたら、今回紹介する、ウェルエイジングな生き方を健康面からサポートしてくれる最先端のクリニックを積極的に利用したい。

Lifeの追求だけではなくEVAを延ばす治療が最高の人生をもたらす

臓器、皮膚、体幹系の細胞レベルで若返りを図る

「老化はストレッサーと呼ばれる損傷因子によって細胞が傷つき、自己修復機能が低下した状態です。

人間の体は細胞の破壊が起きても自己修復機能が働くようにできています。

ところが、壊れた細胞の量に対して自己修復機能が追いつかなくなると、老化現象や慢性疾患が発生します」と話すのは、細胞レベルからのアンチエイジング療法で定評のある辻クリニックの辻直樹院長。
老化のスピードは個人差があり、減少した老化因子(損傷因子)を排除し、若返り因子(修復再生因子)を補充すれば、老化の進行を抑え、若返りが可能になる。

よくアンチエイジングの目的を語る上で、QOL(Quality Of Life)が挙げられる。ライフは生活、人生以外に生命の意味もあり、ライフとクオリティの捉え方は人それぞれ。

「私のクリニックではライフを生命に関わる臓器、クオリティを活動に伴う臓器と分けて考え、保険診療で治療できない部分、主にアクティビティを促すクオリティに着目した自由診療を行っています」
日本は平均寿命が世界的にトップクラスでありながら、寝たきり期間はワーストレベルで圧倒的に長い。

寿命が長くても、エネルギー感(Energy)や見た目の若々しさ(Visual)、活動性(Activity)が失われてしまえば人生を謳歌できない。

「私が行っているアンチエイジング療法も、まさにEVA(Energy・Visual・Activity)の三拍子をバランスよく整え、臓器系、体幹系、皮膚系の細胞を健やかな状態に導くことを目指しています」 辻クリニックでは老化を病気ととらえ、血液や尿の検査で老化因子となる炎症や酸化、糖化のストレス具合と栄養状態などを診断。

老化因子が多い場合は解毒し、細胞の再生や修復に必要な若返り因子を補充するカクテル(点滴液)をつくって体内に点滴注入する。

年齢や体の状態によっても必要な成分は異なるので、年に1、2回検査を行い、カクテルを調整。

「この治療を毎月1、2回定期的に受けていただき、栄養指導も行います。患者さんは10年、20年と長く通われていて、お元気にお過ごしです」
こうした治療がウェルエイジングの土台になるのは言うまでもない。

■辻クリニック 辻直樹院長
医療法人社団医献会理事長、辻クリニック院長。1965年生まれ。獨協医科大学医学部卒。スポーツ選手の栄養・ホルモン・運動生理学に携わる一方で、エイジングをコントロールするための総合医療について独自に研究を積み重ねてきた。

辻クリニック

住所:
東京都千代田区麹町6-6-1長尾ビル8F
電話番号:
03-3221-2551
営業時間:
10:00~19:00
定休日:
土曜、日曜

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日本で初めてのキレーション治療で体内の有害金属を排出

キレーションの抗酸化作用で老化の進行を抑え病気を予防

満尾クリニックの満尾正院長は、2002年に日本初のキレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを開業した。

キレーション治療とは、食物や大気などから体内に蓄積された水銀、鉛、アルミニウム、ヒ素などの有害金属をキレート剤と呼ばれる「EDTA」(エデト酢酸)の点滴によって、尿から体外に排出する方法。1950年代からアメリカで始まった点滴治療だ。

「初診時に20種類の有害金属が体内にどの程度あるか、また銅や亜鉛など必須ミネラルのバランスがとれているか、栄養学的な面も血液検査で見極めます。

血液データはアメリカの専門業者に分析を依頼していますが、ここまで高精度な検査を行うクリニックは国内でも珍しいと思います」と満尾院長。

若いうちは体の解毒機能が働き、有害金属が検出されることはほとんどない。

しかし、加齢に伴い、そうした機能が衰えてくると、長年の食事や環境によって、さまざまな有害金属が蓄積し、それが老化の進行を早め、動脈硬化などの原因にもなる。

「例えば検査で鉛成分が多く検出された女性は、更年期以降に骨がもろくなると、骨内に入り込んだ鉛が溶け出し高血圧になりやすいのです。

また、ヒ素成分が多い方は、農薬に汚染された食品を知らずに食べていたことがわかりました」

検査結果に基づきキレート剤を使って有害金属の排出を促し、不足している栄養素はサプリメントや食事で補う。

この治療を約3か月に1度、定期的に受けて、血液の状態が改善されているかどうか診断する。

そのほか、必須ミネラルの摂取が足りているか、甲状腺ホルモンやメラトニン、インスリンなど、ホルモンの量が適切かどうかも見極めポイントになる。

「高齢者の中には胃酸のレベルが低下し、必須ミネラルの吸収が悪かったり、野菜をあまり食べず、肉中心の食事でミネラル不足であったりする方も多いです」

必要なホルモンが不足していれば、人体に存在するものと同様の自然なホルモンを補充。

有害金属物質の解毒、栄養、ホルモンのトータルバランスで、健康寿命の底上げを図っている。

初診時に血管年齢、骨密度、体組成検査、皮膚年齢検査、毛髪ミネラルを調べる毛髪検査なども行われる。

■満尾クリニック 満尾正院長
1957年神奈川県横浜生まれ。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、キレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを2002年赤坂に開設、2005年広尾に移転、現在に至る。日本キレーション協会代表、米国先端医療学会理事、日本抗加齢医学会評議員。

満尾クリニック

住所:
東京都渋谷区広尾1-1-5 ブランシャール広尾101
電話番号:
03-5774-0125
営業時間:
9:00~12:00、14:00~17:00
定休日:
土曜、日曜、祝日

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「自己完結型」の健診で生涯を見守るパーソナルドクターに

「自己完結型」の人間ドックで心の通った上質な医療を実践

 

フェニックス メディカル クリニックの賀来宗明院長は、王貞治さん、楽天の三木谷浩史さんなど、数多くの方から主治医として支持されている。

「もともと私は産婦人科医ですから、今日まで数えきれないほど多くの出産に立ち会い、赤ちゃんをこの世に迎え入れてきました。反面、同じくらい多くの人たちを見送りましたが、どんなお金持ちでも命をお金で買うことはできません。それほど命は尊いものなのです」

休日も寝る間を惜しんで、患者さんのために奔走する裏には、こうした命への情熱がある。

そして、人間ドックを受けて終わりではなく、自己完結型医療を目指し、形にしたのが今のクリニック。

大学病院並みの設備を完備し、健診センターの他に、婦人科、内科、外科など11の診療科目を併設し、医師は全員常勤。

検査で異常が見つかった場合は、安心して治療が受けられる体制が整っている。

「手術が必要な方は対応が可能な病院の専門医を紹介し、連携を図り、手術後は再び当クリニックで治療が継続できるようにしています。私たちは病気よりも、患者さん本人に興味があるのです。そこに人としての心が芽生え、その方が何を望んでいるのか見極めて治療にあたることをモットーにしています」
 年間10数万人が受診し、2023年は進行したがんを214例見つけて全員救命することができた。

「病気ひとつで、本人はもちろん、家族や会社の運命まで変わってしまいます。だから命より大切なものはないのです」

昨今、息子である賀来哲明医師が東京大学医学部附属病院から戻り、産婦人科のみならず、新しい分野の男性更年期障害の専門外来にも力を入れている。

「男性の更年期は女性ほど知られていません。例えば不眠やうつの原因が精神的な要因か、ホルモンの減少なのかで治療法も変わってきます。特に経営者などトップの人間ほど誰にも相談できず悩んでいる方が多く、どこを受診すればいいかわからないという声もよく聞きます」 

50歳を過ぎたら残りの人生をどう生きて、いかにキレイに終えるか模索していくことも大事と説く。

「長く元気に幸福感の高い生活を送るためにも、これからは『かかりつけ医』ではなく、自分の健康をすべて委ねられるような何でも相談できる『パーソナルドクター』を持つべきでしょう」

■フェニックスメディカル クリニック 賀来宗明院長
1957年、台湾生まれ。ハーバード大学、オックスフォード大学の留学経験を経て、東邦大学医学部卒業。東京大学医学部医学博士。東京大学病院勤務を経て1994年開業。帝京大学医学部非常勤講師、台北医学大学産婦人科准教授、実践大学民生学院教授、東京大学医学部非常勤講師。

医療法人社団鳳凰会 フェニックスメディカル クリニック

住所:
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-41-6【本館】
電話番号:
03-3478-3535
営業時間:
9:00~13:00、14:00~18:00(土曜は9:00~13:00)
定休日:
日曜、祝日

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安心かつ安全な再生医療で健康寿命をアップ

エクソソームを取り入れた病気予防と治療効果とは?

「エクソソームは損傷した血管の修復や体内の炎症抑制、免疫の調整などを促す情報伝達分子を含んだ細胞外小胞※です。

最近、エクソソームの利点を活かした再生医療が流行していますが、効果をきちんと得るには、マイクロRNAなどが十分に含まれた純度の高い製剤を使うことが重要です」と話すのは最先端のテクノロジーを取り入れて再生医療を行っている、ReM CLINICの岩田敏院長。

同クリニックで使用するエクソソームは、国内で唯一、国際規格ISO9001を取得した工場で精製された間葉系幹細胞由来の高品質な製剤である。

「エクソソームを点滴で投与すれば全身の臓器に働きます。例えば糖尿病でインスリンの作用不足が改善して血糖値が下がった方や、抗炎症作用によってアトピー性皮膚炎が良くなった方もいます。また、エクソソームを患部に直接注射することで、薄毛の方に育毛効果が現れたり、腰や膝の関節痛が緩和されたり、さまざまな疾患に対する治療効果が期待できます」 

エクソソームの投与回数や効果の度合いは人によって異なるが、炎症性の痛みには比較的早く効くケースが多いようだ。

クリニックは完全予約制で、治療前に受ける超早期がんリスク検査「エクセドテスト」も同クリニックの特徴である。

採血し、すぐに同系列のクリニックの併設ラボで、がん細胞が放出する血液内のエクソソームからマイクロRNAを抽出して解析。

検査結果は2週間程度でわかる。

「エクセドテストでは、がん罹患のリスクを低・中・高の3段階に分けて診断します。通常の画像診断で異常がわかる前段階で、見つかりにくいがんの早期発見・早期治療にもつながっています」 

高リスクと出た場合、専門の医療機関で精密検査を受ける流れになるが、そこで異常が見つからなかった場合や中リスク以下の方は、医師が検査データを見て、その人に適した予防治療を提案してくれる。

病気のリスク発見から治療、予防、エイジングケアまで、トータルでヘルスケアが受けられるため、ウェルエイジングを目指す世代にとって心強い存在と言えよう。

※ 細胞から放出されるタンパク質や核酸などの生体分子を内包する直径50~1,000nm膜小胞。

■ReM CLINIC 岩田敏院長
1952年神奈川県足柄下郡湯河原町生まれ。1976年慶應義塾大学医学部卒業。同大学感染症学教室教授、慶應義塾大学病院感染制御センターセンター長、国立がん研究センター中央病院感染症部長などを経て2024年2月より現職。小児科専門医・指導医、感染症専門医・指導医、インフェクションコントロールドクター。医学博士。

ReM CLINIC

住所:
東京都中央区銀座5-10-2 GINZA MISS PARIS 2F
電話番号:
非公開
営業時間:
10:00~18:00(予約制・最終受付16:30)

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text by Junko Iijima / photo by Hiroki Yajima