遺跡群と極上リゾート、 カンボジア歴史探訪記

遺跡群と極上リゾート、 カンボジア歴史探訪記

クメールの遺跡の地を目指すリバークルーズ。
激動の20世紀を超え、甦った歴史ホテル。
そして密林に潜む究極のテントリゾート。
南の王国で特別感に溢れた休日を満喫した。

Text by Yoshiaki Nimura
Photo by Daisuke Akita

遺跡群を目指す旅の始まりは
フレンチコロニアルの名館から

かつて華やかさのゆえ「東洋のパリ」と讃えられた、首都プノンペン。
その中心に、フランス統治時代の面影を今日に蘇らせたホテルがある。
〈ラッフルズ ホテル ル ロイヤル〉。ここからカンボジアの特別な休日が幕開ける。

1863年から1953年までの90年間、カンボジアはフランスの植民地だった。20世紀初頭、都市計画家のエルネスト・エブラールの尽力により、プノンペンは「東洋のパリ」と称されるほど華やかに栄える。中で最も豪壮かつ優雅な建物が、1929年に開業した〈ホテル ル ロイヤル〉だった。

フレンチコロニアル様式の外観を眺めながらロビーに入ると、ムーア式の装飾がなされたロビーが広がる。当時、欧州で流行していたアール・デコにオリエンタルな味付けを重ね、旅人を魅了した。宿泊者にはシャルル・ド・ゴール、アンドレ・マルロー、サマーセット・モームなどの著名人が名を連ねるが、とりわけ関わり深い人物にジャクリーン・ケネディがいた。

JFK暗殺事件から4年が過ぎた1967年、元米国大統領夫人は憧れだったアンコール・ワットへの旅を決心。しかし当時、米国とカンボジアには国交がなく、ジャッキーはシハヌーク殿下の計らいにより、米空軍輸送機でプノンペンに入った。2人が酒杯を交わす写真も残るが、このとき、ホテルの〈エレファントバー〉はジャッキーのために特別なシャンパンカクテルを考案。それは「ファム・ファタール(仏語で運命の女)」と名付けられた。その後70年代、ホテルはポル・ポト派の司令部となるが、民主化した1997年、改装中のバーで口紅の跡が色濃く残るシャンパングラスが発見された。それは今も館内に展示されている。

内戦によりホテルは廃墟となったが、今日、修復され、新たにシンガポールの〈ラッフルズ〉のメンバーとして再出発した。全140の客室とスイートはアール・デコとクメールの装飾を織り交ぜ、客室サービスはバトラーが担う。メインダイニングの〈ル ロイヤル〉では本格フレンチのほか、開業から続く王宮のレシピによるクメール宮廷料理も用意。さらにはジャクリーン・ケネディに提供したものと同じフレンチのコースも楽しめる。食事は軽く済ませたいなら、洒落たブラッスリーもお勧めだ。

静かに夜が更ける頃、バー自慢のオリジナルジンのグラスを傾ければ、古きフレンチコロニアルの時代へ思いは馳せる。

 

Raffles Hotel Le Royal ラッフルズ ホテル ル ロイヤル

住所:
92 Rukhak Vithei Daun Penh,   Sangkat Wat Phnom, Phnom Penh
電話番号:
+(855)23 981 888
URL:
http://www.raffles.com/ja/phnom-penh/