台北の巨匠料理人が立ち上げた高級店 僅か一年で星を獲得

台北の巨匠料理人が立ち上げた高級店 僅か一年で星を獲得

五つ星ホテルの名料理人が30年近いキャリアを経て独立。

昨年、新たなコンセプトで新しいレストランを開店した。

早くも今年、ミシュランの星を獲得し、話題を集める。

 

今年、『ミシュランガイド台湾』では世界各地の同アワードで制定されている「オープニング・オブ・ジ・イヤー賞」を導入。これは開業から一年以内のレストランで最も評価される一店を讃えるものだが、台湾での第一回目の受賞レストランが、この「aMaze心宴」だ。同店は同時に、ミシュラン一つ星獲得という快挙も得た。

エグゼクティブシェフの楊光宗は、台湾を代表する料理人のひとり。貿易会社から32歳で料理界に転職した異色の経歴の持ち主。台北の五つ星ホテル「ランディス台北」にある杭州料理の名店「天香樓」で27年間腕を振るい、総料理長まで上り詰めた人物だ。一昨年、退職し、2024年夏、「aMaze心宴」をオープンさせた。

店は台北中心部からは基隆河を挟んで北側に位置する地区に構える。瀟洒なビルの1階にあり、あやうく通り過ぎてしまうような控えめな外観だ。その実、内装にはセンスが光る。ホールを飾るのは、長くニューヨークで活躍した台湾人画家、江賢二の大型絵画だ。個室の内装なども優雅であり、米国I n t e r n a t i o n a l A w a r d sAssociatesのデザイン賞を受賞している。

店名の「aMaze」はAmazing、すなわち「誰もが驚くような料理」をイメージ。これまで楊光宗が手掛けてきた杭州料理、浙江料理、広東料理をベースに、台湾の郷土味を加えたモダン中華料理を提供する。そしてシェフの黄俊仁とスーシェフの周金樺が楊をサポートし、3人のアイデアでコースのみとなる献立を組み立てる。

その料理は、見ればなるほどアメイジングである。左ページの左写真は「番茄燻蛋」。台湾の家庭料理である卵とトマトの炒めものから発想しているが、料理は中央にアヒルの燻製卵を添え、周りには台湾産チーズやドライフルーツ、エディブルフラワーをあしらい花園のように見せる。さらにリンゴの樹を燻したスモークを封印し、テーブルの上で蓋を開けて煙を漂わせる。P9右下写真の煙を上げたひと皿が、まさにその様子。

無論「aMaze心宴」の料理は、プレゼンテーションがすべてではない。美食の追求は並ではなく、「蟹粉拌麵」は上海蟹、未交配の雌の青蟹、卵を持った雌の青蟹、3種の蟹を活きたまま仕入れ、その身と蟹味噌を練った蟹粉を麺に絡ませている。これが美味くないはずがない。食材に関しては、基本的に新鮮な台湾産にこだわるが、日本の近江牛やナマコなど、世界の高級食材にも目を光らせ、独創的な中華料理に活かす。

オープン一年で一つ星。これからどこまで上り詰めるか、大いに期待が寄せられる。

 

aMaze心宴

aMaze

      

ADRESS:台北市中山區明水路598

TEL:+886-2-85015980

OPEN:火曜~日曜、18:00-21:00入店まで

 (完全予約制、毎月1日に予約受付)

URL:https://www.amaze598.com/