
JACOB & CO.が生み出す新たなニューヨークの価値
アートとダイヤモンドの街 ニ ューヨークを象徴する“ジュエル”
ニ ューヨークにはアートや多様なカルチ ャーに彩られたイメージのほかに、もうひとつの顔がある。
それが「ダイヤモンドの街」という側面だ。マンハッタンの5番街と6番街の間、47丁目に広がるエリアは、1920年代から世界有数のダイヤモンド取引の中心地として発展してきた。
そのルーツを辿れば18世紀にまで遡り、その背景にはニューヨークという都市そのものの成長と共に、宝飾文化の発展が重なることとなる。多種多様な宝石が集まり、宝飾品はもちろん時計を扱う店も軒を連ねるようになった現在では、この地域だけで1日あたり約4億ドルもの取引がおこなわれているともいわれている。
現在、ニューヨークには世界的な有名宝石店の旗艦店が多くあり、華やかに街を彩っている。
その中でも今回紹介するJACOB&CO.は、近代ニューヨークにおける象徴と言っていいだろう。
このブランドは1986年、まだ20代前半だったジェイコブ・アラボ氏によって47丁目で産声を上げ、プライベートなカスタムジュエラーとしてスタートした。
数多のジュエラーのなかでも、ジェイコブ氏の卓越したデザインと美意識、そして数ある宝石の中から本当に価値のあるものを見抜く“目”は群を抜いており、瞬く間にセレブリティたちの間で話題となって注目を集める。
やがて、フェイス・エヴァンスをはじめ、世界中のアーティストたちがJACOB&CO.のジュエリーを求めた。
とりわけカラーダイヤモンドを贅沢に使ったファインピースは90年代のヒップホップに大きな影響を与え、顧客であったノートリアスB.I.G.などヒップホップ界のアイコンたちが“成功の証”としてファッショナブルに身にまとう姿はセンセーショナルな輝きを放っていた。
2002年にJACOB&CO.は時計製造へと参入。
これは、多くの顧客からの要望もあったとのことだが、実はジェイコブ氏にとっては幼少期からの夢でもあった。
しかし、ジェイコブ氏は、ただ豪華でラグジュアリーなものを創ろうとはしなかった。
ムーブメントにETA社製クォーツを採用して生み出したのは、名作<ファイブタイムゾーン>だった。
JACOB & Co.が時を刻む意味
<ファイブタイムゾーン>はいまも語り継がれるタイムピースのひとつだ。
中央の文字盤を囲むようにニューヨーク、ロサンゼルス、東京、パリの時刻を表示する4つのインダイヤル(タイムゾーン)が備えられ、ゴージャスでありながらも非常にポップな印象を受ける。
この“作品”はナオミ・キャンベルが『ELLE』誌で着用したことで一気に注目を浴び、どんなセレブリティであっても6ヶ月待ちとなるほどであった。
2003年にJay Zの引退コンサートでJay Zみずからつけていたことでさらなる注目度を浴びることになる。
だが、 JACOB & Co.の影響は決してヒップホップやセレブカルチャーにとどまらない。
2006年に生まれた時計<クエンティン>では複雑機構時計を製造。その名はJACOB&CO.にやってきた顧客の名前から命名された。彼の名はクエンティン・タランティーノ。
もはやJACOB&CO.は新進気鋭のセレブカルチャーの代名詞であるとともにポップカルチャーの頂点を彩るものとなっていた。
さらにJACOB&CO.はジェエラーブランドとしてのプライドと時計メーカーである威信を詰め込んだ世界最高峰の時計を生み出す。それが<ビリオネア タイムレストレ ジャー>と<ビリオネア アショカ>だ。
金色に輝く<ビリオネア タイムレストレジャー>は時計を構成する宝石を集めるだけで3年半を要し、スケルトン・トゥールビヨン・ムーブメントにセットされた425石のアッシャーカット、IF~VVS(※)のイエロ ーダイヤモンドと57石のバゲットカット・イエローダイヤモンド。
合計482個のいうまさに「時を超えた宝物」であり、その価格は27億円(税別・当時)。発売当初の2016年当時、世界最高額の時計としてギネスに認定されるが、これからも名声や記録ではない歴史に残る永遠たる作品として時を刻み続けていくことだろう。
一方、<ビリオネア アショカ>は、まさにJACOB&CO.が生み出すワン・オブ・ア・カインドだ。
ダイヤモンドカットの革命者であるウィリアム・ゴールドバーグが生み出した一石に58面のカットが刻まれる「アショカカット」が施されたダイヤモンドの数は、じつに480石、合計100カラット。
この「アショカカット」は時計ではJACOB&CO.しか使うことはできない。
ただ輝くだけではなく、その光に深みとこれまでにない白い光を放つ姿は“世界にひとつしかないもの”の意味を教えてくれる。
<ファイブタイムゾーン>のポップさ、<クエンティン>から始まった複雑機構、JACOB&CO.のオリジンである超豪華な宝飾。
そして、それをまとめ上げる創造性。
これまでJACOB&CO.が積み上げてきた歴史が、2017年に史上空前の腕時計を生み出す。
それが<アストロノミア ソーラー>。
腕に輝かしいまでの太陽系を表現したタイムピースは、まさにJACOB&CO.が持つ技術力と審美性が融合した傑作だ。
クリエイションとインスピレーション
世界唯一のものを創り続ける創造性の高さは、世界最高峰のブランドとの融合を果たす。
2019年、ブガッティ オートモービルズとの提携により生まれた<ブガッティ・シロン トゥールビヨン>は、ブガッティがもつ創造性とアイコニックな馬蹄形グリルを高度なデザインとして昇華。
世界限定72本となる本作は、非常に精巧なエンジンブロックのオートマトンを搭載するなど、時計であること以上にブガッティとJACOB&CO.の技術的、芸術的側面を体現化したものとなり、それを手に入れることができる人はまさに「選ばれし人物」であることは想像に難くないだろう。
JACOB&CO.の超複雑で華やかなプロダクトをご紹介してきたが、ビジネスの街であるニューヨークのシーンに合わせたアイテムもある。それが<エピックXスケルトン>。
落ち着いた雰囲気でありながら、スケルトンムーブメントを搭載し形状も非常にユニークでありながらフォーマル。
まさに透明性、構造、革新性を併せ持つ「唯一無二」の時計となっている。
1986年の設立から39年。その革新性と信頼から顧客リストには世界中のセレブリティが名前を連ねている。
だが、 JACOB&CO.は、単なるジュエリーや時計のブランドではない。
そこにあるのは、身にまとう者の人生をより鮮やかに彩るための「物語」であり、「表現」である。時代を映し出しながらも、常に一歩先を行くその姿勢こそが、世界中の人々を魅了し続ける理由なのだ。
これからも、 JACOB&CO.はニューヨークという都市のエネルギーを原動力に、唯一無二のクリエイションを世界へと発信し続けていくだろう。
※IF(Internally Flawless)は内包物がまったくない最高のグレードで、VVS(Very Very Slightly Included)は、極わずかに内包物が見受けられるが、肉眼ではまったく確認できないレベルのクオリティのこと