悠久なる文明交差点 そこにある真の”美しさ”
異文化が溶け合うモロッコ・マラケシュに
100年の歴史を刻む伝説のホテルがある。
世界中のセレブリティが愛してやまない魅力に迫る–。
ふたつの大陸の文明交差点
そこにある100年の伝説。
アフリカ大陸でもっとも欧州に近い国、モロッコ。ジブラルタル海峡を挟んだスペインとの距離はわずか約14km。船では1時間ほどの距離であるため、旧くからアフリカと欧州の文化が入り混じり、エキゾチックでありつつも欧州の文化も色濃く残る多様かつ特殊な国だ。そのなかでも現地の言葉であるベルベル語で「神の国」を意味する都市がマラケシュである。
10世紀から都市化が進んだマラケシュは、かつて北アフリカ最大のイスラム交易都市として栄え、旧市街は1985年に世界遺産へ登録。スークと呼ばれる市場やモスク、宮殿などが点在しており、昼夜問わず活気を見せる“生きている史跡”と言える地区だ。その旧市街を囲む12世紀にできた城壁内あるのがモロッコの伝説的なホテル<La Mamounia(ラ・マムーニア)>である。

18世紀にスルタン(イスラム教の君主)が息子へと贈った邸宅と庭園を1923年にホテルとして開業。100年を越える歴史をもち、アフリカ随一の高級ホテルとして数々の伝説を残してきた。たとえば、それは……イヴ・サンローランが愛し、多くのインスピレーションを残した場所であること。チャーチルが冬の時期にやってきては長期滞在したことから、ホテル内に<チャーチル・バー>というバーができたことなど、枚挙にいとまがない。
歴史と改修が紡ぐ
本当のエレガント
ホテルに到着すると、まずその外観に驚くことだろう。タイルが生み出すアラベスク模様とアフリカらしい壁の色合い。そしてかすかに香る欧州デザイン。少し視線を動かし、一歩踏み出すだけであらゆる文化が自身へと染み込むような感覚。ここにしかない、ワン&オンリーな体験は五感すべてを静かに満たしていく。
常にドアマンが2名常駐する扉を抜けるとメインロビーへとつながるが、筆舌に尽くしがたいほど素晴らしいシャンデリアがゲストを迎える。なにより、本当の静かで、優雅な時間へと変化していく、本当のラグジュアリリゾート空間を感じることができるのだ。

客室も豪奢なタイル張りや緻密な配色と造形美。まるで映画か美術品の中にいるような感覚にすらなる。2023年におこなわれた大改修により100年続いた歴史と現在のラグジュアリーが複雑に絡み合い、体現している姿は見事の一言。アフリカならではの大胆さとモロッコならではの洗練された様式美は目を見張るものがある。


もちろん、飲食に関しても一切の抜かりはない。ラ・マムーニアには3つのメインダイニングがある。まず、30年以上の歴史を誇るモロッコ料理の名店「ル・モロカン」。続いて、国際的評価の高い天才シェフ、ジャン=ジョルジュが手がけるアジア料理「ラジアティーク by ジャン=ジョルジュ」。そして2025年9月、新たに加わったのが、イタリアンレストラン「リタリアン by シモーネ・ザノーニ」だ。

現代イタリア料理の革新者であるシモーネ・ザノーニ氏による料理は、南イタリアの鮮烈な風味とクリエイティビティが重なり合う唯一無二の世界だ。薪窯で焼いたタコのカルパッチョ、レモンとフレッシュミントが香るリコッタのラビオリといった料理の数々は、味覚と視覚の両面に鮮やかな印象を刻む。空間デザインは、フランスの著名デザイナー、パトリック・ジュアンとサンジット・マンクが担当。猫のフレスコ画が遊び心を添えるインテリアは、光あふれるテラスと呼応し、レストランに独自の詩情を与えている。中央にはアイランドキッチンが設けられ、ゲストはライブ感あふれる調理の様子を眺めながら、食事の締めにピエール・エルメによる芸術的なデザートを堪能することができる。まさにアフリカの大地に欧州の風が吹く唯一無二の美食体験。ラ・マムーニアは、建物、室内、そして食事に至るまで、まさにヨーロッパとアフリカというふたつの文化が交差し、融合する体験を味わうにふさわしい存在だ。

この地に訪れる者は、ただの滞在を超えた「文明の旅」へと誘われることだろう。人生で一度は訪れておきたい“真の美”に触れられる場所のひとつだ。
La Mamounia
ラ・マムーニア
ADRESS:Avenue Bab Jdid, Marrakesh 40040
TEL:+212 5243-88600
URL:https://mamounia.com/