国立美術館の名画に学ぶ フィンランド人の矜持

国立美術館の名画に学ぶ フィンランド人の矜持

ヘルシンキの街には多くの美術館やギャラリーがある。この首都には3つの国立美術館があり、合わせて2万点に上る美術作品を収蔵している。その中でも代表的な美術館が、こちらの「アテネウム美術館」だ。ヘルシンキ中央駅から間近という立地にも優れ、とりわけ16世紀から20世紀までのフィンランド人アーティストのモダニズム芸術が充実している。

開館は1887年。ネオルネッサンス様式の建造物自体も荘厳で見応えがある。1980年代までは美術学校としても運営されており、多くの芸術家を輩出してきた。ロダンやゴッホ、広重といった国際的な芸術家たちの作品も所蔵公開されているが、それらと共にフィンランド人作家の作品を鑑賞できることは貴重な体験だ。

必見はフィンランドで最も人気が高い作品といわれる、フェルディナント・フォン・ライト作の「闘う雷鳥」。ライトは野鳥や風景画を描く画家として知られるが、1886年に完成した同作は後のフィンランド人たちにとって大きな意味を持つことに。フィンランドは1917年にロシアから独立を果たすまで、長きに渡ってスウェーデンやロシアに支配されてきた歴史がある。独立後も、第二次世界大戦中に旧ソビエト連邦から侵略を受け、フィンランドは多大な犠牲を出しながらも抵抗を続けた。結果的に翌年、モスクワ講和条約を結び、領土を割譲して停戦に至った。「闘う雷鳥」は、ソ連という大国を相手に臆せず戦い抜いたフィンランド人の気概を象徴するものとして、国民の矜持となっている。

名画の中にはその時々の時代背景を映すものも少なくない。国立美術館でその国が辿ってきた歴史や人々の想いを知るのは、意味のある試みだといえよう。

Ateneum Art Museum
アテネウム美術館

住所:Kaivokatu 2 Helsinki
電話:+358 294 500 500
URL:https://ateneum.fi/en/