
〈セントラル・パーク〉NYを象徴する豊かな自然環境も 市民の善意により維持されている
マンハッタンの北部に広がる、緑美しき憩いの園。
この公園の管理、運営もまた市民が大きく貢献している。寄付金、そしてボランティア活動。都市型公園の理想像だ。
毎年4,200万人が訪れるこの公園の維持、運営には、年間約1億ドル(約150億円)の予算が必要とされる。
この資金の調達を行うのがセントラル・パーク・コンサーバンシー(通称CPC)と呼ばれる非営利団体で、個人の寄付や企業の献金を通じて年間予算の約75%、およそ7500万ドルを確保している。
個人からの献金が最大の収入源であり、寄付者の多くは公園の周辺に暮らす住民。
つまりパークをわが家の庭のように利用できる、限られたニューヨーカーたちだ。
「家族で毎日のように公園を利用してきました。ここは我々の思い出が詰まった大切な場所。
市民としてパークの運営に貢献するのは当然の義務です」と語るのは、公園に面した五番街の高級アパートに暮らす住民の一人。
美しい環境が保たれることで、パーク周辺の不動産価値も向上する。
実際、セントラル・パークを一望できる五番街やセントラル・パーク・サウスの高層アパート群は、NY屈指の高級住宅街として知られ、不動産価格は群を抜いている。
またCPCは公園の管理、運営にも深く関わる。
園内の清掃、造園、インフラ整備の他、環境教育プログラムや子供向けのワークショップなどの実施だ。
これらの活動を支えるのは、年間延べ4000人に及ぶ市民ボランティアたち。雑草を抜き、植樹を手伝い、泥まみれになりながら、公園の美化に尽力する人々である。
時間と労力を惜しまぬこうした活動もまた、パトロネージュの一種といえる。
過密でストレスの多い都会生活の中、癒しと活力を与えてくれるセントラル・パーク。
都市型公園の理想像である。