ウィーンが世界に誇るファインダイニング
伝統的なホイリゲで素朴な郷土料理を楽しむのもいいが、せっかくならば最上のファインダイニングも体験したいもの。
ならば世界的な評価を確立しているウィーンの名店を訪ねてみたい。
〈シュタイラーエック〉は緑豊かな市立公園内に構える、鏡張りのパヴィリオンのようなモダンなレストランだ。
オーナーシェフのハインツ・ライトバウアー氏はウィーンの南西シュタイアーマルク州の出身。
アラン・シャペル、そしてアラン・デュカスという、フランス料理界の頂点の下で修業し、2005年、妻のビルギットさんと店を開いた。
ミシュランの二つ星をもち、「世界のベストレストラン」アワードでは、2023年は世界18位にランクインした。
〈シュタイラーエック〉とは「シュタイアーマルク州の」という意味。
その名から、地産地消に根ざしていることが想像できる。
シェフの実家は代々、農園を営んできた家系。
そんな生い立ちからか、食材の質には徹底してこだわる。
ウィーンから実家の農園まではクルマで90分。
行きは店で処理しきれなかった生ゴミを積み、農園の家畜に与え、畑の肥料にも利用する。
そして帰りは農園の採れたて野菜をクルマに満載してウィーンへ。
シェフ自らウィーンの森で何時間もかけて、キノコ狩りすることもあるという。
そしてレストランの屋上はハーブ園に利用している。
同氏は並々ならぬ探究心の持ち主であり、完成した料理は実に創造的だ。
シグネチャーに、淡水魚に温めた蜜蝋をかけ、半分だけ火の通ったいわゆるミキュイに仕上げたひと皿がある。
誰もがその舌触りに絶讃する。
美味しさ、美しさを追いかけながら、食の安全や環境にも心配りを忘れない。
高級料理だけが仕事とは考えず、コロナ禍のパンデミックには、ウィーン救急隊のためにチームで一日1,000食を調理したこともあったという。
古都ウィーンで食の未来までを見据える、〈シュタイラーエック〉はそんな店である。
Steirereck/シュタイラーエック
- 住所:
- Am Heumarkt 2a im Stadtpark 1030 Wien
- 電話番号:
- +43 (1) 713 31 68
- 営業時間:
- 11:30〜16:00、18:30〜最終入店は20:30
- 定休日:
- 土・日・祝日