世界でも稀な首都市内の本格ワイナリー
パリなど、世界には首都にワイナリーが構える地はあるが、大抵は観光的な要素が大きい。
しかしウィーンでは、世界の首都の中でも最大級のワイン生産地域が広がる。
市内のブドウ畑は75haにおよび、ワインの生産は重要な経済活動を担っている。
またブドウ畑は、都市ウィーンの緑化を保全するサステナブルな役割も果たしている。
住宅地のすぐ先の丘にあるのは、歴史的なワイナリー、〈マイヤー・アム・プァールプラッツ〉のブドウ畑。
設立は1683年と、17世紀まで遡る。
畑がある土地の地質は、300万年に形成された、貝殻を多く含む石灰岩。
そして近くのドナウ河から冷涼な風が流れ、ブドウの生育に理想的な環境を保っている。
古木を守るだけでなく、最新製法にも取り組み、今日、多くの受賞歴を得ている。
マイヤーは市内に人気のホイリゲを営んでいる。
ホイリゲとは、自家製ワインと手づくり料理を提供する、オーストリアの伝統的な居酒屋のこと。
マイヤーのホイリゲの別名は〈ベートーヴェンハウス〉。
まさしくかの楽聖が、かつて夏の間、過ごした家であり、交響曲第九番はこの家で作曲された。
そんな逸話もあり、マイヤーのホイリゲは音楽愛好家、ワイン愛好家双方で賑わいを見せる。
マイヤーのワインでまず試したいのは、ゲミシュター・サッツ。
これは複数のブドウ品種をひとつの畑に混植し、同時に収穫、同時に醸造するオーストリア特有の製法によるワインだ。
マイヤーのものは、上級ワインの証であるDACという産地法規制に認定される“ウィーナー・ゲミシュター・サッツ”。
つまりウィーン産銘醸というお墨つきだ。そしてもう一本、味わいたいのはグリューナー・ヴェルトリーナー。
こちらはオーストリア原産の白ブドウであり、同国内で最も生産量が多い品種。
爽快な香りとミネラル感、しっかりとした質感に富む。
マイヤーは日本でも入手できるので、試してみてはいかがか。
Mayer am Pfarrplatz/マイヤー・アム・プァールプラッツ
(以下はホイリゲの情報)
- 住所:
- Pfarrplatz 2 1190 Wien
- 電話番号:
- +43 1 370 12 87
- 営業時間:
- 12:00〜24:00
- 定休日:
- 無休