ハワイの海と大地の恵みを賞味 地産地消ダイニング『Miro Kaimuki』
豊かな海と大地、そして気候にも恵まれたハワイでは地域の食材を見直す動きが加速している。
それは食の持続可能性に関わる課題にもつながる。
地産地消をテーマにする人気レストランを訪ねた。
これまでにない季節を感じる体験を
カイムキはダイヤモンドヘッド山側の街。
クリス・カジオカ氏の店〈ミロ・カイムキ〉はこの街にある。
日系4世の同氏はここで育った。ニューヨークの料理学校で学び、高名な料理家トーマス・ケラーの〈パ・セ〉などでキャリアを重ねる。
やがてホノルルに戻り、高級店を次々と成功させてきた。
「ここには、20年続いた日本人シェフの〈カフェ・ ミロ〉がありました。それが閉店すると聞いて、ならばこの街で育った自分がこの場所を継ぐべきだと決めました」
カジオカ氏が料理をつくる上で最も大切にしていることは、地元の食材の良さを最大限に引き出すことだと言う。
「料理の最上表現とは、自分たちが生きている土地の恵みを活かすことだと思います。それは料理人だけの課題ではありません。地域経済を支えることで、農家や漁師、牧場主の皆が働き続けられます」
カジオカ氏が採れたての地元野菜を大皿に乗せて見せてくれた。
マオ有機野菜農園からの黄色が強いニンジン、フィンガーライムはハワイ島産。
ヒラバラ農園からのターメリックの大きさにも驚く。
「毎月毎月、地元食材を取り入れたプレフィクスメニューを、ハードな仕事になりますが新たに考案しています。地産地消と並んで大切にしているのは、季節感を意識すること。私が日本料理をリスペクトするのはまさしくこの点です。これまでのハワイになかった、食材の季節感を感じる美味しい体験を提供していきます」
オーナーシェフのクリス・カジオカ氏。
サンフランシスコとニューヨークの有名店で腕を磨き、ハワイに戻ってからは〈ヴィンテージ・ケイブ・ホノルル〉〈セニア〉などを人気店に。
受賞歴も多い。
(画像左)マオ農園の黄色ニンジンに火入れし、胡麻とショウガのビネグレットソースを加え、発芽レンズ豆を添える。そして隠し味に山椒を。
(画像中)ハワイ先住民が主食のひとつとしていた、デンプン質のウルをつかったニョッキ。春タマネギ、編笠茸を添え、レモンとリコッタチーズのソースで。
(画像右)ムース仕立てにしたチーズケーキ。カラマンシーという柑橘類を添え、オリーブオイルをかけて。
Miro Kaimuki/ミロ・カイムキ
- 住所:
- 3446 Waialae Ave. Honolulu, HI 96816
- 電話番号:
- +1(808)379-0124
- 営業時間:
- 17:00~21:00、日曜はブランチもあり 9:30~12:30
- 定休日:
- 火曜
text / YOSHIAKI NIMURA, Photographs / AKIRA KUMAGAI, Coordinator / HISAKO SANJO