土器で調理し、 土器で振る舞う。
自然栽培の野菜と天然の魚・肉を土器でじっくりと時間をかけ
忘れかけていた素朴で無垢な感性を呼び覚ます。
日本の季節を感じ、心と身体をやさしく癒し温める
「現代に蘇る縄文料理」を味わえる特別な場所―-。
Index
土器だからこそ味わえる素材の滋味
牛込神楽坂から徒歩5分。閑静な住宅街に佇む「SAIME (サイメ)」の主役は、「土器」である。磁器と異なり多孔質で吸水性に富む土器は、一晩浸水させてから火にかけているため、食材を潤しながら蒸し焼きにする。旨味を逃さず閉じ込めるその特性を活かすのは、強火を避けた黒炭の柔らかな熱。古の知恵を現代の感性で操り、滋味深い一皿を供する。

指先で温度を感じ、根菜が放つ濃密な甘みを享受する
土器料理の真骨頂は五感に響く素材感だ。関東近郊で採れた野菜は、土器の中で生命力を取り戻す。油分を一切使わずに仕上げた蕪や蓮根は、果実のような香気さえ放つ。店主が推奨するのは「手づかみ」。指先で温度と質感を感じ、そのまま口へ運ぶ。塩を振ることも忘れるほどに、野菜そのものの甘みが濃密に凝縮されており、大人から子供までを虜にする。

季節の葉の香りに包まれ柑橘が引き立てる旬の魚介
魚介は、その脂の乗り具合を見極め、一度干して落ち着かせてから調理に臨む。季節の葉で包み、土器で蒸し上げることで、瑞々しさと香気を定着させる。この日は金目鯛を朴葉(ほおば)で。仕上げに添えるのは、和歌山県産の希少なベルガモット。一般的な柑橘よりも柔らかな酸味と優雅な香りが、魚の旨味を輪郭ごと引き立て、高貴な余韻を残していく。

季節の葉の香りに包まれ素材本来の旨味を引き出す
肉料理は、鶏肉をバナナの葉と土で包み、6時間かけて低温で蒸しあげる「乞食鶏」をイメージしたスタイル。一切の水分を足さず、土器の中でじっくりと熱を回すことで、肉質は驚くほどしっとりと、ジューシーに仕上がる。土の中で蒸し焼きにしていた原始の時代へ想いを馳せる。バナナの葉の芳香を纏った肉の塊は、まさに野生と洗練が同居する至高の逸品だ。

命を繋ぐ古代米の食感と、身体に染み渡る野菜の出汁
締めは、赤米、黒米、緑米を用いた古代米のお粥。モチッとした弾力とプチプチとした粒感が、刻み野菜の食感と重なり、口内で立体的なハーモニーを奏でる。味噌を最小限に留めた味噌汁は、その日に使用したすべての食材で取った出汁(ブロス)が主役。複雑に絡み合う甘みが五臓六腑に染み渡り、身体の芯から温まる。食後、静かな充足感とともに、「食べる」という行為の本質と喜びを噛み締める。

野菜の余韻を纏うわらび餅 落花生と黒糖が奏でる深み
デザートの自家製わらび餅は、希少な本わらび粉を野菜スープで練り上げた独創的な一品。砂糖を控え、野菜の自然な甘みを引き出している。千葉県産落花生の「ぴな粉」が放つ芳醇な香りと、奄美大島の黒糖による蜜が、わらび餅の輪郭を鮮やかに縁取る。

SAIME
サイメ

住所:東京都新宿区納戸町33 ガーデンヒルズ市ヶ谷 101
電話:03-6824-4918
営業時間:17:00~22:00
定休日:日曜、第3月曜
コース内容(約2時間半)
野菜・魚介コース:13,200円(税込)※前日迄の予約
野菜コース:8,800円(税込)※前日迄の予約
野菜・肉コース:13,200円(税込)※3日前迄の予約(4名様~)