パリ装飾芸術美術館がクリストフルの展覧会を開催 この機に名作の復刻版が発売
フランスが世界に誇るシルバースミス(銀装飾工芸)の名門クリストフル。
メゾンが200周年を迎える前に、パリ装飾芸術美術館が展覧会を開催。
あわせて歴史的な作品が復刻発売され、入手が叶うことになった。
クリストフルの創立は1830年。
パリの宝石商シャルル・クリストフルが、自らの名を冠した銀細工のメゾンを興した。
そして1842年、電気分解の原理に基づき、金銀コーティングに関する特許を取得。
これによりクリストフルの金銀装飾加工技術は飛躍的に発展。
今日までサヴォア・フェール(職人技の伝統)を磨き続けてきた。
同メゾンは、まもなく創立200周年を迎える。
これを記念し、ルーブル宮殿の西翼に構えるパリ装飾芸術美術館は、この11月から来春まで、メゾンの過去から現在を俯瞰する展覧会「クリストフル、華麗なる物語」を開催。
出展される銀器は1000点に及ぶ。19世紀からの万国博覧会金賞受賞作を筆頭に、ジオ・ポンティやアンドレ・プットマンなど世界的なデザイナーとの共作も展示。
パリでも耳目を集めている。
クリストフルといえば、長く各国王室、首脳官邸などの食卓を装飾してきたことでも名高い。
そこで本展では特別企画として、銀細工師ジャン=ピエール・コテ=デュブレイユによる、壮麗なテーブルのセンターピースを制作、公開する。
左ページがその「オード・オ・オリジン」だ。
全長4mをシルバーコーティングした金属装飾、水晶、鏡で構成。中央の直径40cmのボウルは75kgの水晶から彫刻されたもの。
9灯一対の燭台とテーブルミラーが輝きに満ちる。
本展終了後には、購入も可能とのこと。
その一方でクリストフルでは、展覧会の題目「華麗なる物語」にちなみ、メゾンの歴史を語るに不可欠なミュージアムピースを復刻し、新たに発売することに。
選ばれたテーマは19世紀のジャポニスム、および自然主義運動の作品など。
上の魚の形を成した大きな花瓶は、1874年に建築家エミール・レイバーがデザインした「フィッシュ・ベース」。
江戸時代後期の日本の青銅製花瓶が発想の源であり、オリジナルはオルセー美術館が所蔵している。
そして3作並ぶのは、同じく19世紀末の自然主義芸術運動から生まれたメゾンの名作だ。
オリジナルは1891年の制作。
庭に育つ瑞々しい野菜をアートピースの題材にするという、宗教的題材が主流だった時代には考えられなかった斬新な作風だ。
緑青加工を施されたシルバーコーティングにより、金属彫刻の陰影を極めてリアルに表現している。
クリストフルとは、まさしくフランスのアール・ド・ヴィーヴル(生活芸術)を具現化するメゾン。
この機会に改めて、その真価を確かめてみたい。
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展覧会「クリストフル、華麗なる物語」
- 会期:
- 2024年11月14日~2025年4月20日
- 会場:
- パリ装飾芸術美術館
107 rue de Rivoli 75001 Paris
- TEL:
- +33(0)1 44 55 57 50
クリストフル 青山本店
- TEL:
- 03-3499-5031