
THE TOP of EDGE Singapore Premium Insights ラスベガス・サンズが創り出す“新たな超高級リゾート開発”という未来
2031年、ラスベガス・サンズがシンガポールに新たな息吹を吹き込む。
新たなタワーには全570室のスイートルームを備えた超高級ホテルをはじめ、新たなルーフトップ体験、ダイニングスポット、ナイトライフ、アトラクション、高級ブティック、巨大なプレミアムMICEスペース、15,000席のライブエンターテインメントアリーナなど、ここでしか体験できない“ウルトララグジュアリー”が生み出される。
IRの祖は、どのような未来を描くのか。
そのデザインを手掛けるキーマンたちに話を聞いた。
新プロジェクトのデザインを手がけるのは、現在のマリーナベイ・サンズの建築を手掛けたモシェ・サフディ氏。
彼は「既存のマリーナベイ・サンズと調和しつつ、まったく新しい個性を持つ構造を目指した」と語る。
特に注目したのは、マリーナベイ・サンズとの親和性と視覚的な対比だ。
新たな開発は感嘆符のようなシルエットで、マリーナベイ・サンズの直線的な構造に動きをもたらし、多重構造のルーフトッププールなど、ダイナミックな演出が施されている。
これは現在のマリーナベイ・サンズから得た知見が多くフィードバックされ、より効率的に、よりサスティナブルなものへと進化した結果であり、それは新たなアイデンティティの獲得にもなったようだ。
「新たな超高級リゾート開発では開放的かつ、これまでにない高級感と非常にエクスクルーシブな空間を併せ持った体験を提供できます」(モシェ氏)。
ただ、今回は新たな挑戦もあったという。
それは15000人を収容するライブアリーナと延べ20万平方メートルのプレミアムMICEとの複合施設。
ラスベガスのスフィアなどで知られるポピュラス社がアリーナのデザインを担当している。
今回、ポピュラス社のアンドリュー・トゥレン氏にお話を聞くことができた。
「新たなアリーナは“世界最高級の体験を提供するアリーナ”という位置づけです」(アンドリュー氏)。
スポーツと音楽ライブに特化した“最高級のアリーナ”は最先端の技術とこれまでにない演出を会場全体に仕掛けているという。
「来場者だけでなく、楽屋やバックヤードなども最新かつ最上級を目指して設計しています。
もっとも驚くべきデザイン要素は、“周囲環境との強いつながり”です。
ファン、アーティスト、運営のすべてが統合される設計となっており、世界初とは言い切れませんが、少なくともアーティストとファンの体験を同時にここまで強調しているアリーナは他に思い浮かびません」(アンドリュー氏)。
もちろん、アリーナにも“ウルトララグジュアリー”な部屋が用意される。
「スイートルームがあり、従来のような小部屋ではなく、贅沢な空間体験として設計されています。
自分でも利用してみたいと思うほど特別な体験です」(アンドリュー氏)。
また、観客動線についても入念なシミュレーションをおこない、混雑を緩和するために急速に進化を遂げている顔認証などの最先端技術を入れ込む予定だという。
これまでの取材を通じて、“ウルトララグジュアリーな施設”かつ、“世界最高峰の体験”を実現可能な、とてつもないプロジェクトだということがわかっていただけたかと思う。
では、そのフィロソフィーや実際のサービスといった面では次世代のラグジュアリーをどう捉えているのか。
今回、特別にラスベガス・サンズの社長兼COOであるパトリック・デュモン氏に話を聞くことができた。
「新世代のラグジュアリーは進化ではなく革新だと思っています。
デザインの刷新と挑戦が必要なのです」(パトリック氏)。
そのため、「スケール」「デザイン」「素材の良さ」「サービス品質」、さらに「サスティナブル」に配慮した先進的な設計を取り入れているという。
現在のマリーナベイ・サンズはソーラーパネルの活用やリサイクル、太陽光を上手に採り入れるなど持続可能性への取り組みは先進的かつ意欲的だが、新たなプロジェクトではそれをさらに発展させた専任ESGチームによる環境負荷の少ない建材やエネルギー効率に注力するなど革新的な建築と運用がおこなわれる。
さらにパトリック氏は新たな超高級リゾート開発が生み出す作用について、こう語る。
「数千人単位での雇用も生まれ、政府とも労働政策面で連携しています。
すべての従業員が自信をもち、ポジティブな接客ができる教育、人材作りにも大きく力を入れています。
これからも『一貫性』『ホスピタリティの質』『お客様との心のつながり』を重視して高めていくよう努めていきます」。
2025年7月15日、いよいよ新たな超高級リゾート開発の起工式が開催された。
人の背ほどもある完成模型が披露され、マリーナベイ・サンズ厳選の飲食ブースなど、豪華かつエグゼクティブな式典となった。
出席者も非常に華やかで、今回インタビューに登場いただいた3名に加え、シンガポール首相兼財務大臣ローレンス・ウォン氏、ラスベガス・サンズの共同創設者ミリアム・アデルソン博士など、各界のVIPがこのプロジェクトの門出をともに祝った。
これまで以上に壮大で、革新に満ちたこのプロジェクトがもたらす新しいエンターテインメントとラグジュアリーのかたちは、世界中の人々に驚きと感動を与えてくれるに違いない。
シンガポール、そしてマリーナベイ・サンズが世界を牽引する未来が動き出している。