すべてが規格外のアートルーム 非日常の空間を五感で味わう『すみや亀峰菴』
ただラグジュアリーなだけでなく滞在を特別なものにするアートホテル。
そのなかでも独自のアートホテルが点在する京都から厳選した宿を紹介する。
それぞれに映し出すアートのカタチとは?
京都とアートホテルその蜜月
茅葺きの大門。
和風の建物。
だが、中に入ると和洋が調和した漆黒の鉄板と漆喰の空間が広がる。
そこはロビーでありアートギャラリーでもある「百代」。
このロビーのデザインとプロデュースをおこなったのはヴェネチア・ビエンナーレでアペルト部門を日本人で初めて受賞した芸術家、柳幸典氏だ。
360度、すべて計算し尽くされたその空間は「キューブ」をモチーフにしたもので、窓から入る陽光と室内の明度が心を落ち着かせる。
そのロビーからコンセプトが連続的に続く部屋こそがアートルーム「呼風」。
柳氏のコンセプトのもと陶芸家石井直人氏、帯匠十代目山口源兵衛氏、左官職人久住章氏、和紙職人ハタノワタル氏などの作家・職人たちが技術を駆使し、創りあげた部屋。
そのベースとなったものは三島由紀夫の詩「イカロス」であり、足を踏み入れると一気にアートの世界へと吸い込まれるような回廊が待っている。
回廊を軸に展開される各部屋は多くの驚きと感性を刺激してくれるが、過ごしやすさと快適性が同居しているのは伝統あるすみや亀峰菴だからこそ。
それはまるでアートの胎内にいると言っても過言ではない。
もうひとつ、ならではの特徴として、このすみや亀峰菴にオーストリアワイン大使のソムリエがおり、日本で一番オーストリアワインを提供する旅館だということがある。
オーストリアは古くから高品質のワインを産出。
特に近年ではビオワイン・オーガニックワインとして世界から注目を集め、その味わいは自慢の日本料理と非常にマッチングする。
視覚と感覚だけでなく、味覚も満たしてくれる、まさに五感を味わう宿だ。
すみや亀峰菴
- 住所:
- 京都府亀岡市ひえ田野町柿花宮ノ奥25番地
- 電話番号:
- 0771-22-7722
photographs / Shinichi Tomikawa