
パリの歴史的建造物を大胆にリニューアルした最新ラグジュアリーホテル シュヴァル・ブラン パリ
1870年の創業以来、一世紀を超えパリ市民に愛されてきた百貨店、ラ・サマリテーヌ。
その歴史は2005年に一度閉じたが、2021年、見事な再生を遂げ、リオープニングの式典ではマクロン大統領の列席の下、新たな幕開けを祝い合った。
この再開発により、ラ・サマリテーヌは百貨店として全面リニューアルオープンを果たした。
かつてパリ市民の暮らしに寄り添っていたこの大型建物は、再び街と人の営みに結びつき、文化と商業が交差する場として甦った。
プロジェクトを主導したのは、世界のラグジュアリー市場を牽引するLVMHグループ。
同グループはホテルブランド“シュヴァル・ブラン”を展開しており、2006年のクーシュベルを皮切りに、サントロペ、ランデリ(モルディブ)、サン・バルトで次々と開業。
そして4年前、上記の旧ラ・サマリテーヌの一棟を活かして誕生させたのが、シュヴァル・ブラン パリである。
ポン・ヌフ橋のセーヌ川右岸に立つ元の建物は、20世紀初頭、アンリ・ソヴァージュの手により改築・拡張されたアール・デコ様式の傑作。
今日、フランスの歴史的建造物として登録されている。
その威厳を損なうことなく、現代のホテルとしての機能を優雅に調和させたのは、建築家エドゥアール・フランソワだ。
そして大きな話題を呼んだ内装を手掛けたのは、ルイ・ヴィトンやディオールの旗艦店をはじめ、数々のラグジュアリーメゾンの空間を手がけてきたピーター・マリノ。
彼はこのプロジェクトにおいて、フランスのクラフツマンシップに深い敬意を払い、600人を超える職人たちとともに空間を創り上げた。
家具、壁面、照明、ファブリックに至るまで、すべてを特注で設え、素材と技の粋が建築と呼応して、空間全体が現代アルチザンの力量を見せる舞台として完成した。
ⒸVincent Leroux
全72室の客室はいずれもセーヌ川に臨む。
アースカラーを基調とした穏やかな空間には自然光が柔らかく注ぎ、室内と窓の外の風景が静かに溶け合う。
眼下には現存するパリ最古の橋ポン・ヌフが掛かり、パリの街並みが連なる。
都市とともにあり、そのものに包まれているような感覚に陥る。
一方、シュヴァル・ブラン パリを飾るアート作品は単なる装飾の域を超えている。
ロビーにはジョルジュ・マチューの大型作品《Samsum》が飾られ、空間全体の色調や配置がこの一作を軸に設計されている。
さらにその空間には、ヴィック・ムニーズのエッフェル塔をモチーフにした2点の作品が左右の柱に配され、そこからゲストはホテルの内部に誘われる。
館内に配されたアートのすべてが、知的な好奇心を掻き立ててくれる。
「Art deRecevoir(芸術的なおもてなし)」という理念のもと、LVMHグループが掲げるクラフツマンシップ、創造性といった価値が細部まで宿り、滞在そのものが唯一無二の体験となる。
さらに地下階には、ユニークな「ディオール スパ」が誕生。
セーヌ川の水位と同じ高さに作られた全長30メートルのプールでは、デジタルアートによって再構成された“もうひとつのパリ”の景色が、非日常の静けさをもたらしてくれる。
ⒸAlexandre Tabaste
芸術と建築、歴史と革新を通して、寛ぎと洗練が交差するホテル、シュヴァル・ブラン パリ。
宿泊施設を超えた、パリという都の真のサンクチュアリである。
Cheval Blanc Paris(シュヴァル・ブラン パリ)
- 住所:
- 8 quai du Louvre 75001 Paris
- 電話番号:
- + 33(0)1 40 28 00 00