ラグジュアリーポーセリンの頂 〈リヤドロ〉という結晶

ラグジュアリーポーセリンの頂 〈リヤドロ〉という結晶

優美なフォルム。繊細で豊かな表現。高い技術力。
ラグジュアリーポーセリンアートブランドとして世界的評価を受ける〈リヤドロ〉。
熟練の職人による手仕事を守り続け、確固たる歴史の中で唯一無二の芸術性を確立。
その気品と温もりを備えた作品を生み出し続けている。
今回は、数ある中からライトテーブルの一部をご紹介する。

 

<リヤドロ>の始まりは1953年まで遡る。スペイン・バレンシア近郊のアルマセラ村でリヤドロ三兄弟が小さな工房を開いたことが、ブランドの始まりだ。

彼らはマイセンやセーヴルに触発されながら、自宅の片隅で花々の装飾や繊細な人物像を作り続け、その初期作品には現在の<リヤドロ>が持つ「優雅なフォルム」と「精緻な造形」の萌芽が見て取れる。その後、1960年代には造形表現の幅を広げ、独自のパステルカラーを生む革新的な焼成技術を導入。1965年にはアメリカに進出し、1969年には本社をタベルネス・ブランケスに移転することとなる。

1970年代から1980年代にかけては、限定シリーズの開始、原料の配合を変えた新素材「グレス」の導入、「彫刻」コレクションの誕生など、芸術性を追求する挑戦が相次ぎ、この積極的な革新によって国際的評価はさらに高まる。

1988年にはニューヨーク五番街にギャラリーを開設。1991年にはエルミタージュ美術館で常設展示が始まり、1993年・1997年・2002年には「スペインのノーベル賞」とも称されるアストゥリアス皇太子賞を受賞。<リヤドロ>は名実ともに世界的ブランドとしての存在感を確固たるものにした。

<リヤドロ>が70年以上にわたり生み出してきた陶器人形やオブジェ、照明器具などの作品は、ヨーロッパの名だたる美術館に収蔵され、世界各地の五つ星ホテルやラグジュアリーレジデンスでも広く採用されている。すべてバレンシアの工房で手作業により制作される作品たちは、デザインからモデリング、彫刻、エッチング、絵付けに至るまで、熟練の職人とデザイナーが創業時から受け継ぐ技術を駆使。色彩に至っては4000色以上を使い分けながらひとつの作品として作り上げられている。

なかでも照明作品は、「GOOD DESIGNRAwards 2024」照明部門など数々のデザインアワードの受賞や、「デザイン界の異端児」と呼ばれるプロダクトデザイナー、マルセル・ワンダースと手がけた「ナイトブルーム」は、世界最大級のインテリア展示会「ミラノ・サローネ2019」にて大きな話題を呼ぶなど、近年注目を集めている。

<リヤドロ>のテーブルランプやライトオブジェはただの光源ではなく「光と彫刻が溶け合うアートピース」として空間に存在し、磁器の半透明性によって柔らかな光を放つ。人物像の指先、布のひだ、花弁の輪郭までもが内側からふっと息づくように浮かび上がる。灯りを点けた瞬間、造形が生命を帯びるように見えるのは、<リヤドロ>ならではの技術である。

また、インテリア性の高さも魅力だ。クラシックなホテルスイートからミニマルな邸宅、和の空間まで、さりげなく溶け込みながら確かな存在感を放つ。光を灯さずとも一級のオブジェとして成立し、灯した瞬間まったく異なる表情を見せる二面性が、愛好家を惹きつけている。<リヤドロ>の照明は、単に明るさを得るためではなく、「暮らしの質を高める灯り」としての価値を持つ。

成熟した大人の感性に寄り添う<リヤドロ>の灯り。その柔らかな光が灯る瞬間、日常は静かに品格を帯びる。