ファッションを 文化へと昇華した 「森英恵」の軌跡

ファッションを 文化へと昇華した 「森英恵」の軌跡

日本のファッションが世界へと広がり、その存在感を確立していった時代がある。その中心にいたのが、デザイナーの森英恵。日本のみならずニューヨーク、そしてパリという世界の舞台で活躍し、アジア人として初めてパリ・オートクチュールの正会員となった彼女は、日本の美意識を携えながら、ファッションを文化へと昇華させた存在でもあった。

その創造の根底にあったのが、1961年に提唱した「ヴァイタル・タイプ」という人物像である。快活で、努力を惜しまず、自らの仕事に誇りを持つ女性像。それは単なる理想ではなく、森自身の生き方と重なりながら、時代の価値観を更新していった。

本展「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」では、オートクチュールのドレスを中心に、資料や初公開作品を含む約400点を通して、その軌跡を多角的にたどる。日本の伝統的な絹織物や帯地を用いた独自のテキスタイル、ニューヨークで評価を確立したコレクション、そしてパリで到達した高度なクチュール技術──それらは単なる衣服ではなく、東西の文化を結び、新たな美を提示した証でもある。

さらに本展では、メトロポリタン美術館所蔵作品の日本初公開や、ファッション誌やメディアを通じて文化の土壌を築いた活動にも光が当てられる。森英恵の仕事は、衣服のデザインにとどまらず、ファッションそのものを社会に根付かせる試みでもあった。

一着のドレスの背後にあるのは、美意識だけではない。時代を切り拓こうとする意志であり、生き方そのもの。本展は、デザイナーとしての森英恵のみならず、ひとりの女性が築いた創造の軌跡を体感する機会となるだろう。

生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ

■会期:2026年4月15日(水)~7月6日(月)
■会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜日
価格:一般=2,200円、大学生=1,800円、高校生=1,400円
※中学生以下は入場無料
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料