旬を味わう中華の醍醐味 神楽坂の名店ENGINE

旬を味わう中華の醍醐味 神楽坂の名店ENGINE

名店ひしめく神楽坂に予約困難な中華料理店がある。
はたして、その理由とは──。

江戸時代から花街、武家屋敷、寺町が混在する特別な場所、神楽坂。

その小道をさらに進んだ先に、今回ご紹介する店がある。

その名は「ENGINE」。

予約が取れない赤坂の中華「うずまき」で長年シェフを務めた松下和昌氏が、2015年に開いた中華料理店だ。

開業以来、日本の旬の食材を多用したクリエイティビティ溢れる中華を作り続け、今では予約が困難な名店として知られている。

店内は、松下氏が一人で目が行き届くよう、席数を絞っており、丁寧に美味を届ける配慮がなされている。

基本的に、夜はコースのみの提供だが、先述の通り、季節の食材を多彩に取り入れたメニューは圧巻だ。

たとえば春巻きの具材ひとつを取っても、初夏は鮎、秋は秋刀魚や猪と栗など、意外性と旨味の調和が素晴らしい味わいを生み出す。

なかには蕪や桜えびを使ったものなど一見すると和食のような一皿もあり、ジャンルの枠を超えた自由な発想が随所に感じられる。

それはシグネチャーである「黒酢酢豚」においても同様であり、肉質は柔らかく、肉汁があふれ出し、黒酢と絡み合いながら季節の野菜や果物(取材時はバナナ!)とのマリアージュによって複雑な旨味を奏でる逸品だ。

食べ終えた後に、黒酢ソースにおこげを絡めて楽しむというリクエストも多いのも納得する旨味と酸味、黒酢ならではのコクの均整が取れたものでファンの多さもうなずける。

また、隠れた人気メニューとして、夏季限定の冷やし中華がある。

通年で提供してほしいという声も多く、夏野菜や果物を加えることで、コクと爽やかさを兼ね備えた味わいに仕上がっている。思わず箸が進む味で、たしかに「ふと食べたくなる」一品だ。

四季折々の美味しさを、中華という技法と味覚、そしてシェフの発想で唯一無二のコースに昇華させる。

その体験は、ぜひ一度味わうべき価値がある。

ENGINE

住所:
東京都新宿区神楽坂5-43-2 ROJI神楽坂 1F
電話番号:
03-6265-0336
定休日:
第3月曜日、日曜日、祝日
  
土曜日のみランチ営業