銘醸赤ワインと野外オペラ 優雅なる夏の祭典

銘醸赤ワインと野外オペラ 優雅なる夏の祭典

アイゼンシュタットのもうひとつの魅力は名産のワインだ。

そしてエスターハージー家の功績で忘れてならないものが、そのワイン。

同家がワイン用ブドウの栽培を始めたのは、17世紀中頃まで遡る。

そして1758年、ピノ・ノワールを植えて赤ワインづくりが始まった。

エスターハージー家のワインは、マリア・テレジアや文豪ゲーテも誉め讃えている。

ワイン好きだったハイドンは報酬の一部をワインで受け取ったという。

エスターハージー宮殿の地下にはかつての醸造所があり、現在はワイン博物館として公開。

古式ゆかしい搾汁機をはじめ、エリーザベトの肖像が彫られたワイン樽などを展示している。

現在、エスターハージーのワイン事業は同財団の管理下にある。

日本でも入手できる最上級銘柄は「テソロ」。

ブラウフレンキッシュという特産の黒ブドウ70%、メルロー30%のブレンドで、確かな酸と果実香に優れ、タンニンもしっかりとした王道の味わいだ。

さてそんなエスターハージーのワインを楽しむに理想的なイベントが毎夏、開催されている。

同地には中世より知られたサンクト・マルガレーテン採石場があり、現在はユネスコの世界文化遺産でもある。

その採石場を舞台背景に、1996年より「サンクト・マルガレーテン音楽祭」と銘打つ野外オペラがおこなわれてきた。

夏らしく、屋外ラウンジでは陽のある頃からワインの栓が抜かれ、オーストリア料理とともに大勢のゲストに提供。

そして食後に野外オペラを堪能するという趣向だ。

今年は8月末まで、タデウス・ストラスバーガー演出によるヴェルディ作『アイーダ』が公演された。

古代エジプト時代のエチオピア女王アイーダ役は、リア・クロセットなど3人のソプラノが交代で出演。

採石場は、圧倒的な音楽と目の覚めるような舞台演出に包まれた。

ウィーンが世界に誇る音楽芸術、それと共に歩んできた高貴な貴族文化。

これを高級ワインとともに体験する旅。

まさにヨーロッパならではの洗練されたバカンスが、ここにある。

Winery Esterhazy/ワイナリー・エスターハージー

住所:
Trausdorf 1 7061 Trausdorf an der Wulka
電話番号:
+43(0)2682/63348
定休日:
日曜