建物・食事・体感ー 唯一無二の宿泊がここに『MUNI KYOTO』

建物・食事・体感ー 唯一無二の宿泊がここに『MUNI KYOTO』

ただラグジュアリーなだけでなく滞在を特別なものにするアートホテル。

そのなかでも独自のアートホテルが点在する京都から厳選した宿を紹介する。

それぞれに映し出すアートのカタチとは?

京都とアートホテルその蜜月

京都、嵐山。

旧くは平安貴族の別荘地であり、いまに続くその勝景は歌川広重の「六十余州名所図会 山城 あらし山 渡月橋」をはじめとしたさまざまな絵に描かれ、詠われている。

その渡月橋のたもとに門を構えているのが<MUNI KYOTO>(以下、MUNI)。

和と洋が融合したモノトーンの建物は桂川と平行に建てられ、モダンでありながら嵐山の風景となじむ。 

旅行客も多く賑いをみせる同地だが館内へと足を踏み入れると静寂に包まれ、凛とした空気へと変わる。

ミニマルな作りのフロントには稲田宗哉氏の「無二」の書が掲げられることで場が引き締まり、安藤雅信氏の水琴窟が深く美しい音色を奏でる。

そこから眺める「白庭」と名付けられた中庭は白石が敷き詰められ、松の輪郭がくっきりと浮かび上がる。

その姿は陽の移り変わりで様々な表情を贅沢に映し出す、まるで生きている日本画のよう。

白眉なのは客室へと入ったときの風景だ。

扉を開けた瞬間、一直線に眼に入るのは床から天井まで大きくとられた掃き出し窓。

1階の客室では主庭の自然が借景として切り取られ、鮮やかに飛び込んでくる。

ロビーから眺める白庭に対し、黒庭とされた主庭には四季折々の草花が植えられていた。

訪れたのは新緑が始まる季節であったが、秋には紅葉の彩、降雪の時期には水墨画のような景色を楽しませてくれることだろう。

掃き出し窓を開け、専用バルコニーに出ると主庭の水が足元をくぐる。

この特別な時間を体感できるのは1階の部屋ならではの醍醐味といえる。

2階の部屋からは嵐山、桂川、渡月橋が一望できた。

季節による日々折々の表情だけでなく、宿泊しなければ見ることができない早朝の景色など心豊かな時間も流れる。

また、2階の部屋は天井が高く取られていることで窓を開けたときの開放感も気持ち良い。

館内での光や窓の使い方も和洋の建築方式が取り入れられ、建物全体における設計の妙を感じられる。

MUNI には3つの景観を楽しむ部屋が用意されている。

前ページで紹介した1階のガーデンビュー、その2階にある渡月橋と嵐山の景観を眺めることができるリバービュー、そして3人~4人以上で宿泊ができるメゾネットだ。

メゾネットタイプ以外は基本的な作りこそ変わらないが、リピート客は季節と気分によって1階と2階の客室を指定し、嵐山の風情を楽しんでいるとのこと。

たしかに、2階の客室ベランダから一望できる嵐山と渡月橋の眺望はここでしか見ることができない風景。

なかでも全21室中、ひとつしかない2階のプレミアコーナーツインは渡月橋にもっとも近い部屋となり、この部屋を指定するゲストが多いのも頷ける。 

MUNIの素晴らしさはその風景だけではない。

じつは客室にも細かな芸術的エッセンスが取り込まれている。

たとえば、客室の壁は「白」で統一されているが、ベッドサイドの壁面は西洋の「スタッコ・アンティコ」仕上げ、その反対側は和の「漆喰」で仕上げてあるなど、滞在する体験すべてにおいて嵐山は世界遺産や文化遺産が点在する芸術・文化の要所であることを改めて認識させてくれるのだ。

ふとソファの近くの一輪挿しに目を落とす。

そこに置かれていたポストカードは歌川広重の浮世絵「六十余州名所図会 山城あらし山 渡月橋」。

広重が描いた場所に悠久の時を経て自分が滞在できることの特別感を感じられる素晴らしい演出だ。

アラン・デュカスが京都で創り出すコンテンポラリーキュイジーヌ

史上最年少でミシュランの星を取り、異なる国で3つ星を獲得した世界初のシェフである「アラン・デュカス」。

その名を冠した<Muni Alain Ducasse>では、愛弟子であるアレッサンドロ・ガルディアーニが陣頭指揮を取る。

シャガールなどが飾られる店内でサーブされるキュイジーヌは京都のみならずあらゆる日本の食材とフレンチの技法を組み合わせた逸品でミシェラン1つ星を獲得。

また、桂川の景観を眺めながら朝食・ランチ・ティータイムを楽しめる<MUNI LA TERRASSE>も展開し、あえてフランス料理をベースに嵐山の文化と融合させていく姿勢は心躍る。

MUNI KYOTO by 温故知新

住所:
京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3番
電話番号:
075-863-1110(10:00 – 19:00)

photographs / Shinichi Tomikawa