一流ホテルで巡る 新旧ハワイの時間旅行
ハワイのリゾート史は、1901年、〈モアナ・ホテル〉の開業で幕を開けた。
優雅な白亜のホテルは、当時の面影を今日に伝えている。
そして今春、ブランニューホテルが開業。新旧ホテルの魅力を探る。
ワイキキのリゾートの歴史はこのホテルから始まった
ワイキキビーチのほぼ中心。
そこにはヴィクトリア朝時代の趣に溢れた建物が立つ。
〈モアナ・サーフライダー・ウェスティン・リゾート&スパ〉は、ワイキキで最初に誕生したホテルだ。
今日もその回廊を歩けば、優雅な時代にタイムスリップできる。
1901年、大地主ウォルター・ピーコックが別荘を改装し〈モアナ・ホテル〉を開業。
現正面のヒストリック・バニヤン・ウィングは当時の建造物を修復したもので、米国国家歴史登録財に認定。
また1904年、中庭に植樹されたバニヤンの木は、ホノルル市と郡の特別な木に指定されている。
20世紀前半、豪華客船がハワイに就航する時代になると、ホテルは社交場として栄え、「ワイキキのファーストレディ」と称される。
1935年には、バニヤンの木の下でラジオ番組『ハワイ・コールズ』の公開放送も始まった。
ハワイ音楽を流した番組は世界で放送され、日本でも人気に。
ではシャンデリア煌めくロビーへ。
階段にはホテルの歴史を伝える写真が飾られ、興味深い。
客室は、眺望で選ぶならタワーウィングを勧めるが、お好みなら正面、ヒストリック・バニヤン・ウィングの趣を優先するのもいいだろう。
過ぎ去りし時代のハワイ、そんな夢が見られるかもしれない。
歴史を味わうならば、レストラン〈ヴェランダ〉で名高いアフタヌーンティーを楽しみたい。
感染症対策で中断されていた同店の朝食ブッフェが、3年ぶりに再開されたというニュースもある。
そして夕刻にはバー〈ヴィンテージ1901〉に席をとり、ピアノの生演奏とカクテルで涼むのも、このホテルらしい過ごし方だ。
まさに時の流れを残すホテルである。
Moana Surfrider, a Westin Resort & Spa/モアナ・サーフライダー・ウェスティン・リゾート&スパ
- 住所:
- 2365 Kalakaua Ave. Honolulu, HI 96815
- 電話番号:
- +1(808)922-3111
今春、グランドオープンスパ施設が充実の最新ホテル
ホノルルに新築の大型ホテルが誕生したのは20年振り。
アラモアナセンター向かいの超高層ビル内にホテルはある。
抜群の眺望とウェルネス関連設備が自慢のリゾートだ。
今年5月、全館開業した〈ルネッサンス・ホノルル・ホテル&スパ〉が話題を呼んでいる。
“ルネッサンス”は、マリオット・インターナショナルのアッパー・ブランドだ。
ホテルは、アラモアナセンター向かいに完成した〈スカイアラモアナ〉にある。
同施設では39階建ての超高層ビルが2棟竣工。
ホテルはそのイーストタワーに入り、15階から29階までが客室とスイート、30階から39階までが大型キッチンなどを備え、長期滞在するトラベラーにも適したレジデンスルームとなっている。
名前の通り、ホテルの大きな特長にスパ&ウェルネス施設の充実が挙げられる。
8階には2棟をつなぐような構造で広々としたスカイデッキがあり、関連サービスを集約。
中央に大型プールがあり、それと別に競泳にも適したラッププールを配置する。
ユニークなのは、〈OFURO SPA〉。
オアフ島では初の日本風の温浴大浴場がある(水着着用)。
さらにヒマラヤの岩塩を使用したサウナ、スチームルーム、水風呂も併設され、これに加えてトリートメントルームやフィットネスセンター、ヨガスタジオなど、ウェルネス施設を完備する。
新築だけあって、ゲストルームはいかにも快適で美しい。
高層階に位置することもあり、床から天井まで続く窓からの眺望はまさしくダイナミック。
そして全室に深いバスタブと洗浄機能付きトイレが備わる。
バスアメニティはAVEDA製だ。
一方で、杉本博司氏などのアート作品を飾るパブリックスペースは、落ち着いた雰囲気を漂わせてシックだ。
飲食施設は4箇所あり、メインダイニングは〈MARA〉という地中海料理レストラン。
ホテルがあるアラモアナ地区は再開発が進み、ますます便利に。
いま、ハワイで一番新しいホテルステイを体験してはいかがだろう。
Renaissance Honolulu Hotel & Spa/ルネッサンス・ホノルル・ホテル&スパ
- 住所:
- 1390 Kapiolani Blvd, Honolulu, HI 96814
- 電話番号:
- +1(808)921-6155
ワンフロア・ワンゲスト 現代のワイキキの特等席
プールの先には視界を遮るものはなく、ワイキキビーチが広がるだけ。
9つあるフロアは、それぞれワンゲスト専用という贅沢なつくり。
ラグジュアリー・ホテルの粋を極めたリゾートがワイキキの中心にある。
〈エスパシオ ザ ジュエル オブ ワイキキ〉のオープンは2019年。
以前、建物は72室あるホテルだった。
現所有者はこれをワンフロア・ワンユニットに設計し直し、9階のフロアに9ユニットというホテルに再生した。
1ユニットは3ベッドルーム、または2ベッドルーム+書斎というレイアウト。
各ベッドルームにバスルームと洗浄機能付きトイレがある。
全ユニットに大型キッチン、ワインセラーなどが整い、ラナイ(ベランダ)には専用のプライベートジェットバスまである。
さらに1ユニットを除いて、ドライサウナまで備えている。
各ユニット6名まで利用可能だ。
屋上にはインフィニティプールと〈エスパシオ スパ〉があるが、プールもスパも予約制の貸し切りというスタイルで、プールサイドではダイニングの〈MUGEN〉がサービスするバーベキューも楽しめる。
最近、サンセットタイムに限ってプールサイドは一般にも解放され、シャンパンとキャビアのサービスをオーダーできるようになった。
また、ダイニング〈MUGEN〉は、米国格付会社フォーブスがハワイ州で唯一、3年連続で最高点五つ星を付けており、先頃、ハワイ料理界の重鎮であるアラン・ウォン氏が新たに監修役に就任した。
いかにも洗練されたプリフィクスコースを提供するが、同店では最高級シャンパン“クリスタル”のグラス・サービスも始まっており、この店も一般利用ができる。
各ユニット専任のバトラー、空港までの無料ショーファーカー、高級レンタカーの無料手配。
特別感は枚挙にいとまがない。最上のハワイステイがここにある。
ESPACIO The Jewel of Waikiki/エスパシオ ザ ジュエル オブ ワイキキ
- 住所:
- 2452 Kalakaua Ave. Honolulu, HI 96815
- 電話番号:
- +1(808)377-2246
日本からの予約専用電話 +1(808)376-7355
text / YOSHIAKI NIMURA, Photographs / AKIRA KUMAGAI, Coordinator / HISAKO SANJO