Speakeasyという英語がある。

禁酒法時代、酒の密売業者を指した。

転じて現代、レトロな隠れ家風バーといった意味でも使われる。

ホノルルにはローカルでも知らないような密やかなバーもある。

Brix & Stones

カカアコは再開発により、ギャラリーやブティックなどが集まる街。

その一角にる人ぞ知るシガーバーがある。

〈ブリックス＆ストーンズ〉は、ハワイ州において室内でシガーが楽しめるおそらく唯一の店だ。

リック・リリー氏は長くソムリエの経験を積んできた。

ハワイで初のナチュラルワイン専門バーを開業しようとしていた矢先、パンデミックのロックダウンに見舞われる。

バーなどもっての外という時期だ。

そこで発想を変え、ナチュラルワインの小売店に切り替えた。

その際、パートナーのエレイン氏がタバコの販売免許を持っていたこともあり、シガーの販売も始めた。

ある日、店でシガーに火を点けると、朽ちた天井の隙間から煙が抜けていくことを発見する。

そこでリリー氏は建物所有者と交渉して通風口を自作し、シガーバーに改装。

行政の認可も無事クリアした。

店は自動車修理工場の２階に潜むようにしてある。

酒類とシガーの店舗、それにバーラウンジがあるが、真の“Speakeasy”な空間はその奥。

ヴィンテージ感に溢れた大人の佇まい。バーではナチュラルワインに加え、高級バーボンを樽買いして提供。

ちなみに店は完全予約制で、直接入れない。

事前にホームページから予約し、25ドルのラウンジパスを購入する。

そしてwebサイトを進み“NEED TO KNOW”の利用案内を必ず読むようにとのこと。

オーナーのふたり。リッ・リリー氏とエレイン氏。リリー氏はカリフォルニアで、長年ソムリエのキャリアを重ねてきた。

Gallery 29

もう一店、ワイキキの“Speakeasy”も紹介しよう。

〈イリカイ・ホテル＆ラグジュアリー・スイート〉の30階に地中海料理レストラン〈ペスカ〉がある。

直通エレベーターで同店に入り、予約を告げると29階に案内され、食材保管のバックヤードを抜ける。

すると奥に貸し切りラウンジバー〈ギャラリー29〉がある。

カウンター8席と15席ほどのラウンジがあり、〈ペスカ〉からワインや料理を届けてもらえる。

ただし最低2,500ドルの利用条件があり、利用は3時間まで。

このバーも完全予約制であり、〈ペスカ〉に電話して予約するのが確実だ。

ワイキキでプライベートパーティー、そんな機会のために覚えておくのもいいだろう。

text / YOSHIAKI NIMURA, Photographs / AKIRA KUMAGAI, Coordinator / HISAKO SANJO